「Googleクチコミをお客さんからもらったけど、なんて返信したらいいか分からない」とお困りではございませんか?

お客さんからのクチコミは、良いクチコミもあれば悪いクチコミもあります。お客さん以外にも、取引先や元従業員がクチコミを投稿することもあります。

このような様々なクチコミに対して、ゼロから考えて返信するのは大変です。

この記事では、弁護士が様々なクチコミのパターンに応じて、クチコミの返信例と型・ポイントを解説します。

目次

1. Googleマップのクチコミに返信する意味

Googleマップのクチコミは、インターネットを通じて誰もが閲覧可能です。

クチコミに対して店舗側が返信することは、投稿者に対するコミュニケーションであると同時に、将来の閲覧者に対するメッセージという意味もあります。

しかも、クチコミに返信することで次のようなメリットが考えられます。

  • ① クチコミの返信をみた閲覧者に好印象を与える
  • ② リピーターを増やせる
  • ③ 商品・サービスの正しい情報を伝えられる
  • ④ クチコミ投稿をしてもらいやすくなる

① クチコミの返信をみた閲覧者に好印象を与える

クチコミに対して丁寧に返信することで、閲覧者に「丁寧な会社」「お客さんの対応に力を入れている」「しっかりとした接客をしてもらえそう」といった印象を与えることができます。

反対に、何の返信もしていないと、閲覧者には冷たい印象を与える可能性があります。

② リピーターを増やせる

クチコミへの返信は投稿者とのコミュニケーションです。

投稿者は返信をもらったほうが嬉しいです。返信をすることで投稿者との信頼関係を築き、リピーターとなる可能性があります。

③ 商品・サービスの正しい情報を伝えられる

クチコミの内容がお客さんの誤解に基づくケースがあります。誤解に基づいた情報発信がされたままの状態ですと閲覧者にも悪影響となります。

この場合は、正しい情報をクチコミ返信で記載して、閲覧者が誤解することを防止しましょう。

④ クチコミ投稿をしてもらいやすくなる

クチコミに対して適切に返信をしていると、お客さんにもクチコミに力を入れていることが伝わります。

店舗を訪問して感謝してくれたお客さんは、お店のためにクチコミを投稿してくれる可能性が高くなります。

2. Googleマップのクチコミに返信しないほうが良い場合

悪質な誹謗中傷に対して裁判を検討している場合は、返信をせずに弁護士にご相談ください。

たとえば、次のようなケースです。

  • クリニックで次のような投稿がなされた。
    「〇〇の検査が行われていないのに、明細書には〇〇の検査料の記載があることが何度か続いています。不正請求するクリニックなのでもう行きません。」
  • 投稿内容はまったくの事実無根。
  • クリニックとしては、投稿者の開示請求を行い、損害賠償請求までを希望している。
このようなときは、クチコミに返信することで次のようなデメリットが考えられます。
  • ① 投稿が削除されて証拠保全できない可能性
  • ② クチコミの返信内容を理由に裁判で不利な証拠として利用される可能性

① 投稿が削除されて証拠保全できない可能性

クチコミの返信をして投稿者がクチコミを削除することは珍しくありません。

何も証拠保全していない段階で投稿を削除されてしまうと、誹謗中傷の証拠がないので裁判を進めること自体難しいです。

そのため、裁判を検討されている場合は何も反応せずに弁護士にご相談ください。

② クチコミの返信内容を不利な証拠として利用される可能性

私の経験上、Googleに対して裁判をした場合は大手事務所の弁護士がGoogle側の代理人となります。

Google側の代理人は、他のクチコミの状況、返信の内容などを証拠として提出することがあります。

たとえば、事実無根の誹謗中傷のクチコミに対して、「この度はお客様にご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございません。以後このようなことが起こらないように注意して参ります」と返信すれば、Google側からクリニックも投稿内容の事実関係は認めているとの主張が出てくる可能性があります。

3. 星4以上の高評価のクチコミに返信する場合

星4以上の高評価のクチコミに返信する際のポイント

星4以上の高評価のクチコミに返信する際のポイントは次の3つです。

  • ① 来店・投稿に対する感謝の言葉
  • ② 投稿内容に対する店舗側のコメント
  • ③ 結びの言葉

【クリニック】医師やスタッフの接客態度を褒められた場合の返信例

クチコミ内容

★★★★★

〇〇の検査を受けました。先生を含めスタッフの方がとても親切に対応してくれました。大手A病院とも連携しているそうです。安心して通院できるクリニックだと思います。

返信例

この度はご来院くださりありがとうございました。
また、高評価のクチコミもありがとうございます。

当クリニックの医師やスタッフについて評価いただけたということを大変うれしく思います。
今後も他院との連携を通じて地域の皆様に信頼されるクリニックとして医療を提供して参りたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

返信のポイント

医師やスタッフの接客態度に対するクチコミや評価は非常に多いです。

患者さんに伝わるように説明したのか、目をみて話したのか、挨拶を気持ちよくしてくれたのかなど医療とは直接関係ないところで患者さんは評価を決めていることが多いです。

このクチコミも、「先生を含めスタッフの方がとても親切に対応してくれました」というもので接客態度に関するものです。

文章ごとに分けて説明します。

① 感謝の言葉

「この度はご来院くださりありがとうございました。また、高評価のクチコミもありがとうございます。」という部分が感謝の言葉です。

② 店舗側のコメント

「当クリニックの医師やスタッフについて評価いただけたということを大変うれしく思います。今後も他院との連携を通じて地域の皆様に信頼されるクリニックとして医療を提供して参りたいと思います。」という部分が投稿内容に対するクリニックのコメントです。

③ 結びの言葉

「今後ともよろしくお願いいたします。」は結びの言葉です。

4. 星3評価・クチコミなしに返信する場合

星3評価・クチコミの投稿がない場合のクチコミに返信する際のポイント

星3評価・クチコミの投稿がない場合に返信する際のポイントは次の3つです。

  • ① 投稿に対する感謝の言葉
  • ② 店舗側のコメント
  • ③ 締めの言葉

【飲食店】星3つの評価のみでコメントなしの返信例

クチコミ内容

★★★

コメントなし

返信例

ご来店いただきありがとうございました。

次回いらっしゃった際には、今回よりもご満足いただけるサービスを提供できるように努力いたします。

またのご来店お待ちしております。

返信のポイント

5段階評価で星3つの評価は悪くないと感じる方もいると思います。

しかし、Googleクチコミにおいてはあまりポジティブなものではないです。お客さんが満足しなかったことから星3になったと評価すべきです。

クチコミの記載がない以上は店舗側のコメントも難しいですが、上記の返信例を参考にして返信していただければと思います。

5. 星2以下の低評価のクチコミに返信する場合

星2以下の低評価のクチコミに返信する際のポイント

星2以下の低評価のクチコミに返信する際のポイントは次の3つです。

  • ① 来店に対する感謝の言葉
  • ② 投稿内容に対する店舗側のコメント
    • 意見のみの場合→謝罪と改善方針の説明
    • 真実の場合→謝罪と改善方針の説明
    • 真実ではない場合→情報の訂正
  • ③ 結びの言葉

【クリニック】医師やスタッフの接客態度に対する低評価の口コミが投稿された場合の返信例

クチコミ内容

先生は患者と目も合わせてくれません。
受付の方も感じが悪かったです。
もう二度といきません。

返信例

この度はご来院くださりありがとうございました。
〇〇様に不愉快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。
〇〇様のご意見を真摯に受け止め、〇〇など接客態度の改善に努めて参ります。

貴重なご意見ありがとうございました。

このクチコミは、投稿内容が真実かどうかというよりも、患者さんが感じた接客に関する感想です。

「アイコンタクトしながら話を聞いている」と反論したくなる気持ちも分かりますが、このような反論は他の閲覧者に良い印象を与えません。

返信例のように謝罪と改善方針の説明を行うのが適切だと考えます。

【クリニック】待ち時間が長いとのクチコミの返信例

クチコミ内容

待ち時間が非常に長いです。
予約時間にいっても1時間以上待たされることもあります。
おすすめできません。

返信例

この度はご来院くださりありがとうございました。

予約していただいたにもかかわらず、長時間お待たせしてしまい誠に申し訳ございませんでした。

〇〇様のご意見を真摯に受け止め、〇〇などできる限りお待たせしないような仕組みづくりに取り組んで参ります。

貴重なご意見ありがとうございました。

このクチコミは、予約時間に行ったのに1時間以上待たされたという事実を前提に、「待ち時間が非常に長い」と感想が記載されています。

予約時間から診察までに1時間以上かかるケースがあれば、この投稿は嘘とはいえませんので、削除はできません。

患者さんによって診察時間に差があります。クリニック側が完全に診察時間をコントロールすることは難しいです。

そのため、予約時間に来院いただいても患者さんを長時間待たせてしまうケースもあると思います。

このようなクチコミは、返信例のように、謝罪→改善措置の説明と繋げられると理想的です。

もっとも、待ち時間の解消は非常に難しい問題なので、改善措置の説明が難しいケースもあります。

その場合は、次のように混雑する曜日・時間帯と混みにくい曜日・時間帯を記載していただくと閲覧者にとっても参考となる情報となります。

返信例

予約していただいたにもかかわらず、長時間お待たせしてしまい誠に申し訳ございませんでした。

土曜日の午前中の時間は大変込み合うため、予約時間にご来院いただいても1時間近くお待たせしてしまうケースがございます。

平日であれば予約時間どおりのご案内が可能となることが多いです。

今回のご意見を真摯に受け止め、できる限りお待たせしないような仕組みづくりに取り組んで参りたいと思います。

【飲食店】ステーキ屋さんでお肉が半生で提供されるというクチコミの返信例

クチコミ

お肉は半生で出てきます。食中毒にご注意ください

返信例

この度はご来店いただきありがとうございます。

お客様にはご不安な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。

当店は、お肉の新鮮さを売りとしており、焼き加減は、レア、ミディアムレア、ミディアム、ウェルダンの4つから選んでいただけます。

お肉の管理は〇〇など徹底しており、これまで食中毒が発生したこともございません。

当店のおすすめは、お肉の柔らかさを最大限味わっていただけるミディアムレアです。

しかし、ミディアムレアですと赤い部分も多少ありますので、気になるお客様にはウェルダンをご案内させていただいております。

ご案内が不十分であった可能性もあることから、再度社内で焼き加減の案内を徹底するように指導いたしました。この度は貴重なご意見ありがとうございました。

お客さんは不正確な情報をクチコミに掲載することがあります。

「お肉は半生で出てきます。食中毒にご注意ください」という情報だけをみると、閲覧者は半生で提供されるステーキ屋さんは怖いなと考えて来店を控える可能性があります。

しかし、この返信があると、焼き加減は調整できることが分かるのでお客さんは安心して店舗を訪れることができます。

商品・サービスの正しい情報を提供するという意味でも返信は有効です。

6. 悪質なクチコミに返信する場合

悪質なクチコミへは毅然とした対応

次のような非常に悪質な投稿者もいます。

  • クチコミに記載の事実が真実ではない
  • クチコミ情報が最新となるように頻繁に編集・投稿
  • 社会的評価を下げるような内容を掲載
このような悪質な投稿者に対しては、社内調査の結果を踏まえて店舗としてのコメントを出すようにしてください。悪質かつ虚偽の投稿に関しては謝罪する必要はありません。

【歯科クリニック】暴力を振るわれたというクチコミの返信例

クチコミ内容

2024/1/5投稿 「先生に治療中頬を叩かれました。二度とこんな病院には行きません。」
 ↓
2024/3/4更新 「先生に治療中顔を叩かれました。おすすめできない病院です。」
 ↓
2024/6/3更新 「先生は暴力的なのでおすすめできないです。」

返信例

こちらのクチコミ内容について当院で事実確認を行いました。
調査の結果、こちらのクチコミ内容は事実でないと判断しました。

当院では、歯科医師と歯科助手など複数体制で患者様に対応させていただきます。そのため、投稿されたような行為があればスタッフが目撃しております。

歯科医師・歯科衛生士・歯科助手を含めたスタッフ全員に確認を行いましたが、患者様への暴力の事実は確認できませんでした。

貴方は、クチコミ内容を何度も更新されており、その都度クチコミ内容が変化しています。実際にはいつの出来事だったのか、また貴方が当院の患者様なのかも不明な状態です。

当院で追加調査をすることも可能ですので、ご希望の場合は、当院まで詳細についてのご連絡をお願いいたします。

このような悪質な投稿者は、会社の評価を下げようと悪意を持って行っています。

開示の手続きを進めると、過去にトラブルとなった患者さんや元従業員などが投稿者であることが判明するケースが多いです。

悪質なクチコミに対しては、返信ではなく法的措置という選択肢もあります。

7. まとめ:クチコミは状況に応じて適切に対応することが重要

これまで解説してきたとおり、クチコミの返信には一定の型があります。

しかし、クチコミに対して返信するか、返信する場合はどのような内容とするのかは悩ましい場合もあります。

当事務所では、クチコミの削除や投稿者の特定などの法的措置以外のサポートも可能ですので、お困りの方はぜひ一度お問い合わせください。

監修者:よつば総合法律事務所 弁護士 辻悠祐
プロフィール

大阪弁護士会所属弁護士。よつば総合法律事務所大阪事務所所長。企業法務チームに所属。インターネット上の誹謗中傷の対応、企業及びクリニックの顧問業務、使用者側の労働問題などを担当している。

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