誹謗中傷や悪質な口コミは削除請求をしましょう。

この記事ではITサービス、システム開発企業の皆様に向けて、口コミを削除できる場合や削除する方法を弁護士が解説します。

なお、削除できるかどうかの判断は難しいです。まずは弁護士へのご相談をお勧めします。

目次

ITサービス、システム開発企業の経営課題

ITサービス、システム開発企業は、人材確保が重要な経営課題です。

IT業界は人手不足です。今後もIT業界の需要が低下することは考えにくいので、ますます人手不足は深刻化します。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によれば、新卒人材(IT人材としての新卒就職者数)の増加に伴い、2018年に約103.1万人だった供給人数が2030年には10.2万人増加して約113.3万人となる試算となっています。

しかし、IT需要の増加と比較すれば、人材の供給が追い付いているとはいえず、今後も人材確保に苦労する状況が続くと思われます。

IT・通信分野の転職市場の動向

パーソルキャリアの転職サービスdodaの「転職求人倍率レポート(2024年3月)」によると、IT・通信の転職求人倍率は7.66倍です。全体の転職求人倍率2.77倍を大きく上回ります。

これは、求職者1名あたり7件の求人があるということを意味しており、完全に求職者の売り手市場です。

求職者は、転職サイトに登録して企業の口コミを見る人が多いです。採用で企業が選ばれるためには、自社の口コミにも配慮する必要があります。

ITサービス・システム開発企業の誹謗中傷・口コミトラブルの具体例

ITサービス、システム開発企業の誹謗中傷や口コミトラブルには、次のような事例があります。

  • 転職会議の口コミで、「サービス残業をさせられます」と嘘の投稿があり、採用への影響が心配。
  • オープンワークの口コミで、経営者がパワハラ・セクハラをしていると嘘の投稿があり、削除したい。
  • ライトハウスの口コミで、「評価基準が明確ではない。上手く経営者にアピールして気に入られれば昇格でき、嫌われると不当に降格や減給される」旨の嘘の投稿があり、困っている。
  • 採用面接に来た求職者に、転職サイトの口コミを理由に断られた。
  • 悪質なクチコミが転職サイトに投稿されてから、応募件数が減少した。

ITサービス、システム開発企業の口コミを削除すべき3つの理由

ITサービス、システム開発企業の口コミを削除すべき理由は次の3つです。

  1. 採用に影響があるため
  2. 取引先に影響があるため
  3. 投稿内容は半永久的に残り続けるため

1. 採用に影響があるため

悪い口コミは求職者が応募を控える原因となります。新卒採用・中途採用のいずれにおいても転職サイトの口コミは重視されます。

特に、就労環境や条件についての口コミは求職者にとって大変興味がある情報です。

悪質な口コミや虚偽の内容が投稿されている場合は、採用に悪影響があります。

2. 取引先に影響があるため

転職サイトの口コミは、取引先が見ていることがあります。

たとえば、次のような投稿があると、コンプライアンスを重視する企業は取引を控える可能性があります。

  • 「社長が〇などセクハラしている」
  • 「社長が〇などパワハラしている」
  • 「長時間労働が常態化しており、ブラック企業」

また、次のような投稿があると、新規取引先は品質への不安からほかの企業を選ぶ可能性があります。

  • 「開発技術が稚拙で、〇などミスが多発している」
  • 「SESで派遣されるエンジニアは〇もできない」

3. 投稿内容は半永久的に残り続けるため

インターネットの投稿は、誰かが削除しない限り半永久的に残ります。投稿者やサイト管理者が自主的に削除する確率は低いです。

そのため、インターネットの悪質な口コミや誹謗中傷を見つけたときは被害を拡大させないことが重要です。

なるべく速やかに削除を請求しましょう。

ITサービス、システム開発企業の口コミを削除できる場合とできない場合

ITサービス、システム開発企業の口コミ削除のポイントは以下の2つです。

  • ① 投稿内容がITサービス、システム開発企業の社会的評価を低下させること
  • ② 投稿内容に含まれている事実が虚偽であること

投稿内容に記載の事実が嘘で、一般の読者の立場からしてもITサービス、システム開発企業の社会的評価を低下させるものであるときは口コミを削除できる可能性が高いです。

たとえば、転職サイトの口コミに「上司に〇〇というパワハラをされた」という記載があるとします。

投稿内容の事実が真実であるときは口コミを削除することは難しいです。

反対に、投稿内容の事実が虚偽であるときは、証拠に基づき虚偽であることを説明できれば削除できる可能性があります。

自分で行う口コミ削除の申請方法

サイトごとにポリシーを設定しています。任意の削除申請フォームが設定されていることが多いです。

サイトのポリシーを確認して、投稿が違反事項に該当するか確認します。

その上で削除申請フォームやお問い合わせフォームよりポリシー違反を報告し、口コミ削除の依頼をします。

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転職会議への削除請求

ITサービス、システム開発企業の誹謗中傷・口コミトラブルでお困りの方へ

①投稿内容がITサービス、システム開発企業の社会的評価を低下させていて②投稿内容に含まれている事実が虚偽である場合、削除請求ができる可能性は高いです。

もっとも、削除できるかどうかの判断は難しいです。実際の削除の手続きが複雑なときもあります。

誹謗中傷や口コミトラブルでお困りのときは、ぜひ弁護士にご相談ください。

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