企業の担当者様やクリニックの院長様の中には、Googleマップに投稿された身に覚えのない低評価や、事実に反する悪質な口コミに頭を悩ませている方も少なくないでしょう。
「Googleに削除を依頼したのに、全く対応してもらえない」
「どうしてこの口コミが削除されないのか、理由が分からない」
「削除されない場合にどのような対応があるのか分からない」
このようなお悩みは、私が日々業務を行う中でよくお受けするご相談です。
本記事では、Googleへの違反報告・削除依頼が通らなかった場合の「再審査請求」という次のステップに焦点を当て、その具体的な手順や成功のポイントを解説します。違反理由について具体的な事例に基づいた参考例も載せていますので、ぜひご参考にしてください。
さらに、最終手段としての法的手続きや、弁護士に相談するメリットについても、専門家の視点から分かりやすくご説明します。
目次
1. はじめに:そのネガティブな口コミ、放置すると大きな経営リスクに
たった一件のネガティブな口コミが、企業の信頼を大きく損ない、深刻な経営リスクにつながる時代です。まずは、その影響力の大きさを再認識することから始めましょう。
1.1 売上や採用に直結するGoogle口コミの影響力
消費者は、商品購入やサービス利用の前に、Googleマップの口コミを参考にするのが当たり前になっています。星の数やレビュー内容は、来客数や売上に直接的な影響を与えます。
特に、地域に根差した店舗やクリニックにとって、口コミの影響力は無視できません。
その影響は採用活動にも及びます。求職者は企業の評判を調べるために口コミを確認します。「従業員の悪口」や「ブラック企業」といった書き込みがあれば、優秀な人材を確保する機会を失いかねません。
1.2 削除依頼が通らないケースが増えている現状
Googleはネガティブな内容であるというだけでは口コミを削除しません。
企業側が「これは誹謗中傷だ」と感じて削除を依頼しても、「ポリシー違反は確認されませんでした」と拒否されるケースが非常に多くなっています。
しかし、ここで諦めてはいけません。Googleの判断が絶対的なものではありません。適切な手順を踏めば、一度は拒否された口コミでも削除できる可能性は残されています。

2. まずは基本から|Google口コミの削除依頼ができるケースとは?
Google口コミの削除を求めるには、大きく分けて以下の2つの主張方針があります。
- Googleの定めるポリシーに違反しているとの主張
- 法律に違反しているため違法であるとの主張
2.1 Googleが定める「ポリシー違反」の具体例
Googleは、禁止および制限されているコンテンツに関するポリシーを公開しています。これに該当する口コミは、削除の対象となります。主な例を見てみましょう。
- 虚偽のコンテンツ:実体験に基づいておらず、対象の場所や商品を正確に表現していないコンテンツ、場所の評価を操作するために複数のアカウントから投稿されているコンテンツなど
- なりすまし:他人や他の組織を装って口コミを投稿すること。
- 個人情報:個人の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどを本人の許可なく公開すること。
- 関連性のないコンテンツ:一般的、政治的、社会的な論評や個人的な不満が含まれるコンテンツなど。
詳細はGoogleのポリシーをご確認ください。これらのポリシーに明らかに違反している場合は、削除依頼が承認される可能性があります。
2.2 法律に違反しているため違法であるケース
Googleのポリシー違反には該当しなくても、違法な口コミは削除の対象です。代表的なのが「名誉毀損」です。
たとえば、虚偽の事実を挙げてクリニックの評判を落とすような行為は名誉毀損に該当します。「AクリニックのB院長は、過去に医療過誤を起こしている」というような口コミです。
名誉毀損に該当する場合は、民事上では不法行為となり損害賠償請求の対象となります。刑事上では、名誉毀損罪として刑事責任を追及することが可能です。
3. 自分で行うGoogleへの削除依頼の方法
Googleビジネスプロフィールの管理者は、Googleに削除依頼をすることが可能です。
管理者以外も削除依頼は可能ですが、削除依頼が通らなかった場合に再審査請求まで検討している場合は管理者から削除依頼を行うことが望ましいです。
Googleへの削除依頼の詳細は次の記事をご確認ください。
4. 【本題】削除依頼が通らない場合の次の一手「再審査請求」とは
一度目の削除依頼が拒否されたとしても、諦めるのはまだ早いです。Googleには「再審査請求」という制度が用意されています。
この制度はポリシーに違反の有無について再度Googleがチェックを行う制度です。
ポリシー違反が認められると、口コミが削除される可能性があります。
4.1 再審査請求の概要と通常の削除依頼との違い
通常の削除依頼は制度上は何度でも申告可能です。しかし、再審査請求は1回しかできません。
4.2 再審査請求が認められるための重要なポイント
4.2.1 どのポリシーに違反しているかを具体的に指摘する
再審査請求はポリシー違反の有無を対象としています。
そのため、口コミのどの部分が、どこのポリシーに、どのように違反しているのかを明確にすることが最重要となります。
再審査請求では、ポリシー違反について1000文字まで自由記述が可能です。
そのため、すべてのポリシー違反を主張するというよりも、認められる可能性の高い違反理由を適格に指摘することが重要です。Googleポリシーの深い理解と過去の経験が重要となります。
4.2.2 客観的な証拠を添付する
再審査請求では、主張を裏付ける証拠データを添付できるのも特徴です。主張を裏付ける客観的な証拠があれば、削除が認められる可能性が高くなります。
たとえば、提供していないサービス・商品についての口コミが投稿された場合は、メニュー表を証拠として添付すれば「虚偽のコンテンツ」として認められやすくなります。
再審査請求は1度きりです。そのため、可能な限りこのような証拠を準備し、再審査請求の際に添付しましょう。
4.3 【図解で解説】再審査請求の具体的な申請手順
一度報告した口コミがGoogleのポリシーに違反していないと判断された場合でも、再審査を請求することが可能です。以下の手順に沿って操作してください。
① 「クチコミの管理」ツールにアクセス
Googleビジネスプロフィールのヘルプページなどにあるリンクから、「クチコミの管理(Manage your Google Business reviews)」ツールにアクセスします。

② アカウントの確認
ご自身のビジネスプロフィールを管理しているGoogleアカウントのメールアドレスが表示されます。内容を確認のうえで間違いがなければ「確認」ボタンをクリックします。

③ ビジネスの選択
管理しているビジネスプロフィールの一覧が表示されます。再審査請求を行いたい口コミが投稿されているビジネスを選択します。

④ アクションの選択
「報告したクチコミのステータスと再審査請求の方法を確認したい」にチェックをして次へ進む

「条件を満たしているクチコミに対して再審査を請求」を選択し、次へ進みます

⑤ 再審査請求を行う口コミを選択
これまでに報告した口コミの審査状況が表示されます。
再審査請求を行いたいクチコミにチェックを入れて次へ進みます。

そうすると、再審査請求の対象の確認画面が表示されるので、内容に間違いがなければ、「再審査請求を送信」をクリックします。
⑥ 削除のリクエスト
次のような削除リクエスト画面が表示されるので、Googleポリシーを参照しつつ、以下の3点を記入します。
- 該当するポリシーの名前
- 違反している理由(1000文字以内)
- 裏付けとなる資料の添付

4.4 【事例で解説】再審査請求の違反理由の具体例
4.4.1 【事例】メニュー表にない商品についての虚偽の口コミが投稿されたケース
次のような口コミが飲食店のGoogle口コミに投稿されたと仮定して話を進めます。
Google口コミ
ここのお店はまったくおすすめしません。
メニューにあったビビンバを頼んだのですが、料理の中に髪の毛が入っていました。
店員に注意したのに、店員は謝るどころが逆切れ。
店長を出してくださいと言ったのですが、「店長はいま不在です。うちの料理に満足できないなら帰ってください」といわれました。
おすすめできません。
4.4.2 検討すべき再審査請求の理由について解説
このエピソードが事実であれば、投稿の削除は困難です。
しかし、飲食店で「ビビンバ」というメニューを過去一度も提供したことがなければ、虚偽の投稿であるとの説明はしやすいです。
Googleポリシー違反との関係でいうと、次のように再審査請求の理由を主張することができます。
該当するポリシーの名前:虚偽のコンテンツ(虚偽のエンゲージメント、誤った情報)
問題の口コミがポリシーに違反していると思われる理由
本件口コミは、貴社ポリシーの「禁止および制限されているコンテンツ」内、「虚偽のコンテンツ」に該当します。具体的には、次のとおりです。
- 貴社ポリシーでは、「実体験に基づいておらず、対象の場所や商品を正確に表現していないコンテンツ」や「虚偽の情報、不正確な情報、または欺瞞的な情報」を含むコンテンツの投稿を禁止しています。
- 本件口コミには、「メニューにあったビビンバを頼んだのですが、料理の中に髪の毛が入っていました。」との記述があります。
しかしながら、当店では創業以来、一度も「ビビンバ」というメニューを提供した事実はございません。これは客観的な事実に反する、完全な虚偽情報です。
この事実を裏付ける証拠として、当店のメニュー表を提出いたします。ご確認いただければ、当店に「ビビンバ」が存在しないことは明白です。
- 提供していないメニューに関する具体的な記述があることから、本件口コミが投稿者の実体験に基づいたものではない、あるいは意図的に事実を歪めた虚偽の情報であることは明らかです。実在しない商品に関するクレームは、他のユーザーに著しい誤解を与え、当店の評判を不当に低下させます。
以上のことから、本件口コミは貴社ポリシーに違反する内容であると判断いたしました。 つきましては、早急に本件口コミを削除していただきますよう、強くお願い申し上げます。
5. 再審査請求も通らない:最終手段としての法的措置
再審査請求を行ってもなおGoogleが削除に応じない場合、あるいは投稿者が誰だか分からず悪質な投稿が続く場合は、裁判所を通じた法的な措置を検討することになります。
5.1 法的措置①:投稿者を特定する「発信者情報開示請求」
匿名の投稿による誹謗中傷の場合、まずは誰が書き込んだのかを特定する必要があります。
投稿者を特定するための手続きとして「発信者情報開示請求」があります。投稿者を特定する方法として大きく分けると以下の2つの手段があります。
- ① 投稿者の足跡(IPアドレス)から通信会社を調べて契約者情報の開示を求める方法
- ② サイト管理者に対して投稿者のアカウント情報(電話番号等)の開示を求める方法
いずれの方法がベストかは状況によって異なります。詳細については次の記事で解説しています。
5.2 法的措置②:裁判所を通じて削除を命じる「削除仮処分命令申立」
Googleなどのサイト管理者に対して、裁判所が「この口コミを削除しなさい」という命令を出すよう求める手続きです。
法律に基づいて権利侵害が明白であると裁判所が判断すれば、Googleもその命令に従い、口コミを削除します。通常の裁判に比べて迅速に結論が出るのが特徴です。削除の手続の流れについては次の記事で解説しています。
5.3 法的措置のメリットとデメリット
開示命令や削除仮処分などの法的措置のメリットとデメリットは、次のとおりです。
特に、開示命令の場合は仮に裁判で開示命令の決定が出ても投稿者が特定できないケースが一定程度出てくることには注意が必要です。
5.3.1 法的措置のメリット:
- 裁判所が権利侵害を認め、削除を命じる決定を出せば、Googleが任意での削除依頼に応じなかった口コミであっても、削除が実現する可能性が極めて高くなります。
- 投稿者を特定し、損害賠償を請求できる可能性がある。
- 法的措置を取るという強い姿勢を示すことで、将来的な誹謗中傷を抑制する効果が期待できる。
5.3.2 法的措置のデメリット:
- 弁護士費用や裁判所への申立費用がかかる。
- 手続きが複雑で、専門的な知識が必要不可欠。
- 解決までに一定の時間がかかる。
- 削除や開示請求が成功するとは限らない。

6. Google口コミの削除は弁護士に相談すべきか?判断のポイント
6.1 ご自身で対応できる範囲と限界
ご自身で対応できるのは、Googleのポリシー違反が明白なケースの通常の削除依頼や、証拠が揃っている場合の再審査請求までかと思います。
それ以上の法的措置となると弁護士に依頼することになると思います。
しかし、弁護士の目線でいうと、削除依頼を検討する初動の段階からご相談いただきたいというのが本音です。ポリシー違反や投稿の違法性を理由として削除請求するには専門的な知識が必要です。再審査請求も1回しかできないので、最終の法的手段に出る前に弁護士のサポートを受けることが適切だと考えます。
6.2 弁護士に依頼する3つの大きなメリット
6.2.1 メリット①:削除の成功率が高まる
弁護士は、口コミの内容を法的な観点から分析し、Googleや裁判所に対して説得力のある主張を組み立てることができます。
どの法律・ポリシーにどう違反しているのかを的確に指摘することで、ご自身で対応するよりも効果的な削除申請が可能です。
6.2.2 メリット②:時間と手間を大幅に削減できる
Googleへの削除申請やポリシーの確認、裁判所への書類作成などは面倒です。また、専門的な知識がないと作成自体にかなりの手間がかかります。
弁護士に依頼していただければ、面倒な業務を弁護士に一任できます。担当者様は本来の業務に集中することができます。
6.2.3 メリット③:再発防止策までアドバイスがもらえる
弁護士は、単に口コミを削除するだけでなく、将来同様のトラブルが発生しないための予防策についてもアドバイスできます。
たとえば、社内ガイドラインの作成や整備、誓約書の作成、クレーム対応のフローの見直しなど、企業のリスク管理体制を強化するお手伝いが可能です。顧問契約を結ぶことで、平時から継続的なサポートを受けることもできます。
6.3 相談を検討すべき具体的なタイミング
以下のいずれかに当てはまる場合は、お早めに弁護士へ相談することをお勧めします。
- Google口コミに悪質な投稿がされた
- Googleに削除依頼を拒否された
- 再審査請求の文章作成に自信がない、何を主張すればよいか分からない
- 口コミの内容が明らかに事実と異なる
- 投稿者を特定して、損害賠償を請求したい
- 悪質な口コミが複数あり、自社での対応に限界を感じている
7. まとめ:悪質な口コミは放置しない!迅速な対応で企業のブランドイメージを守る
Google口コミの削除は、まず「通常の削除依頼」、それが通らなければ「再審査請求」、そして最終手段として「法的措置」という段階的なプロセスがあります。
特に「再審査請求」は、一度目の依頼が拒否された後でも自社で対応できる有効な手段ですが、成功のためには論理的な主張と客観的な証拠が不可欠です。
悪質な口コミは放置すると企業の評判を低下させます。発見した場合は、迅速に対応し、早期に相談することが重要です。
「自社で対応してみたが、うまくいかない」
「何から手をつけてよいか分からない」
「忙しいから弁護士に一任したい」
そのような場合は、ぜひ一度、ネットの誹謗中傷問題に詳しい弁護士にご相談ください。
専門家の知見を活用することが、企業の信頼を守るために有効な方法です。当事務所では、企業様からのご相談を随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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