悪質なX(旧:Twitter)アカウントへは削除請求できます。
よつば総合法律事務所もなりすましアカウント被害の経験があります。裁判所への申立でアカウント全体の凍結に成功しました。
この記事ではX(旧:Twitter)でのトラブルにお悩みの皆様にむけて、悪質なX(旧:Twitter)アカウントへの削除請求の方法を、X(旧:Twitter)のトラブルに詳しい弁護士がわかりやすく解説します。
目次
削除できるツイートとは
問題のあるツイートは削除できます。削除の方法は次の2つです。
①X(旧:Twitter)に削除申請する方法
X(旧:Twitter)に削除申請する具体的な方法はX(旧:Twitter)の削除請求をご確認ください。
②裁判所に削除の申立てを行う方法
X(旧:Twitter)は削除申請になかなか応じません。応じないときは裁判所に削除の申立てを行います。削除の仮処分申立てです。裁判所の削除決定を取るには権利侵害が必要です。
削除できる範囲
権利侵害のツイートは裁判で削除できます。X(旧:Twitter)では次のような削除対象があります。
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①アカウント全体
②ツイート
③アイコン画像
④アカウント名
⑤ユーザー名
⑥プロフィール部分
アカウント全体の削除
X(旧:Twitter)のアカウント全体の削除はできるでしょうか?
残念ながら、アカウント全体の削除はほとんど認められません。アカウントの存在自体が権利侵害との評価は難しいためです。ただし、アカウント全体の削除の事例もあります。
アカウント全体の削除の事例
- 若手女性起業家の著名人A
- Aのなりすましアカウントが、元AV女優Bと同一人であるかのような記載を行う
- 裁判所は、AがBと同一人である事実を摘示するものであり、Aの人格権を侵害することのみを目的とする明らかな不法行為であって、権利救済のためにアカウント全体の削除を認めた。
(さいたま地方裁判所平成29年10月3日決定)
個別の権利侵害の削除
アカウント全体ではなく、ツイートやアイコン画像、アカウント名、ユーザー名、プロフィール部分につき、権利侵害がある範囲で個別に削除が可能です。
「アカウント名」「ユーザー名」「プロフィール部分」は よつば総合法律事務所の公式アカウントを例にすると次の通りです。
アカウント名
「よつば総合法律事務所」がアカウント名です。アカウント名はX(旧:Twitter)上の名前として表示されます。
ユーザー名
「@YotsubaSougou」がユーザー名です。ユーザー名は英数字のみの羅列です。ユーザー名はアカウント固有のもので、他のアカウントと重複はできません。
プロフィール部分
「皆さんのお困り事を・・・」がプロフィール部分です。
ツイートやプロフィール部分、アカウント名、ユーザー名は、名誉毀損などの権利侵害で削除の請求ができます。
アイコン画像は肖像権などの権利侵害で削除の請求ができます。
アカウント名の削除の影響
ツイートのほかに、アカウント名等が削除されると、アカウント全体の凍結をX(旧:Twitter)が行うことが多いです。
アカウント全体が凍結されると、閲覧も使用もできません。そのため、アカウント全体の削除と同じような効果があります。
よつば総合法律事務所のなりすましアカウント凍結までの道
よつば総合法律事務所も「なりすましアカウント」で困った経験があります。
なりすましアカウントは、よつば総合法律事務所の名前で次のようなツイートをしていました。
- 他のアカウントへの迷惑ツイート
- 他のアカウントへの攻撃的なツイート
- 他のアカウントを脅迫するようなツイート
- 他のアカウントから個人情報を聞き出そうとするようなツイート
このようなツイートをよつば総合法律事務所の名前で行うと、法律事務所の社会的評価が低下することは明らかです。名前を無断で使っていることも権利侵害です。
X(旧:Twitter)への削除請求
次の理由でX(旧:Twitter)に削除請求をしました。弁護士の意見を付けての請求です。
- 商標権侵害。商標の無断使用(貴社の商標に関するポリシー違反)
- ブランドのなりすまし(貴社のなりすましに関するポリシー違反)
- 攻撃的な行為及び名誉毀損
しかし、X(旧:Twitter)は削除に応じませんでした。
裁判所への削除仮処分申立
X(旧:Twitter)が削除に応じないため、裁判所にアカウント全体の削除仮処分申立てを行いました。申立では次の権利侵害を主張しました。
- 氏名権侵害
- 名誉権侵害
- アイデンティティ権侵害
併せて、人格の同一性に関する利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものであることは明らかであることを主張しました。
権利侵害が明らかであるため、裁判期日は1回で終わりました。ツイートとアカウント名の権利侵害部分の全ての削除が認められました。申立てから削除の決定まで約2か月です。
その後、X(旧:Twitter)はよつば総合法律事務所のなりすましアカウントを凍結しました。
よつば総合法律事務所のなりすましアカウントの削除にかかった期間は約2か月です。ただし、権利侵害が微妙なときは、プラス1~2か月はかかることが多いでしょう。
裁判所の削除決定にサイトが対応しないとき
X(旧:Twitter)などサイト側に削除権限はあります。裁判所が強制的に削除はできません。しかし、サイト側が対応しないとき何の手段もないと、裁判所の決定に意味がありません。
そのため、裁判所の決定を守らないときは「1日〇円支払え」とすることで心理的な負担をかけ、決定内容を遵守させる手続(間接強制)があります。
間接強制の注意点は手続き期間が短いことです。保全命令が送達された日から2週間です。(民事保全法第43条2項)
削除の決定が出たときは、削除されたか確認を行いましょう。削除されていないときは期間内に間接強制の申立を行うことが望ましいでしょう。
弁護士に削除や開示請求の依頼をするメリット
削除や開示請求は複雑です。しかも、短期間で行う必要があります。詳しい弁護士に依頼すれば、削除や開示請求が円滑に進みます。
削除や開示請求は権利侵害を主張することが必要です。詳しい弁護士でないと十分な法的主張は困難です。
削除や開示請求は詳しい弁護士に依頼するのが望ましいでしょう。
よつば総合法律事務所のサポート内容
X(旧:Twitter)のトラブルに詳しい弁護士が在籍しています。そのため、X(旧:Twitter)でのトラブルへの対処や削除請求がスムーズにできます。
ご相談はZOOMで全国対応しています。初回相談は無料です。
X(旧:Twitter)のトラブルに詳しい弁護士に相談したい企業様は、まずは無料相談をご利用ください。
まとめ:悪質なX(旧:Twitter)アカウントへの削除請求
悪質なX(旧:Twitter)アカウントへは削除請求できます。①X(旧:Twitter)に削除申請する方法と②裁判所に削除の申立てを行う方法があります。
X(旧:Twitter)アカウント全体の削除ができる可能性は低いです。個別のツイート、アイコン画像、アカウント名、ユーザー名、プロフィール部分は権利侵害があれば削除できる可能性があります。
※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。